おしらせ

未来へのメッセージ 道の駅「小国」チーフ・高橋正之助氏 (S25回卒)

[2016-11-30]

九州学院105年・未来へのメッセージ

3186265276309744768.jpg人と人をつなぐ駅に
道の駅「小国」チーフ・高橋正之助さん(61) /熊本

毎日新聞2016年10月23日 地方版

 

<熊本地震後は客足が遠のき、今も復興の途上にある>

経験のない災害に見舞われ、道の駅の役割を再認識しました。通常は(1)情報発信(2)休憩(3)地域の連携拠点−−の機能です。4月14日の前震で小国町は大きな被害を免れましたが、本震は震度5強に襲われました。棚の商品が倒れたり、一部のガラス窓に亀裂が入ったりしました。大分県日田市とを結ぶ国道212号は落石などで一時通行止めに。今は規制解除されましたが、名所の鍋ケ滝(なべがたき)は立ち入り禁止になるなど観光面への影響は大きかった。

<本震後も営業時間を短縮しながら、避難者や復旧工事の車両を受け入れた>

車中泊の住民や復旧作業などの車両で駐車場は埋まりました。大災害時は防災機能が道の駅の重要な役割です。通行できる道路や迂回(うかい)路はあるのか。温泉施設の無料開放など生活に直結する正しい情報を求める人に尽くす気持ちでした。4〜6月の客足は前年同期比55・5%減でしたが、少しずつ回復しています。

<実家は小国町で米屋や林業を営む。九州学院卒業後は水産会社などを経て家業を継ぐため戻った>

高校の経験が今に生きています。再開された敬愛寮の1期生として1970年に入学しました。開校した11年から寄宿舎があり、寮は学校の原点ともいえます。デザイナーの田山淳朗さん(61)は同期の寮生で仲が良く、当時から着こなしが洗練されていた。今も道の駅に顔を出してくれます。末っ子で長男の私は寮でたくさんの兄弟ができたようで楽しく、刺激を受けました。

<インターハイの県予選を連覇する強豪の卓球部に所属した>

1学年先輩にいた熊本信用金庫元理事の松本秀幸さん(64)に憧れて入部。朝から夜まで厳しい練習でしたが、この時に礼儀作法を身につけました。当時の寮監で元野球部監督の緒方徹さん(69)は今も駅にふらっと立ち寄ってくれる。教諭や生徒のつながりが強い。学校全体に包容力があり、人と人をつなぐことの魅力を感じました。

<育んでくれた地域や母校への恩返しのために町内外との交流に力を注ぐ>

駅にUターンやIターン、移住希望者の相談窓口を設けたり、2003年からはコミュニティーFMの放送を始めたりして観光をPRしています。熊本復興のため、人と人をつなぐ案内所として更に交流を盛んにしたいです。

 

■人物略歴

たかはし・しょうのすけ

1973年卒業。大学卒業後、水産会社を経て家業を継ぐ。道の駅「小国」は87年、旧国鉄(現JR九州)の肥後小国駅跡地に町営観光施設「ゆうステーション」として完成。93年に県内第1号の道の駅に登録され、施設責任者に就任した。特産の小国杉を使った建物は日本初の木造立体トラス構法を採用し、九州学院出身で建築デザイナーの葉祥栄さんが設計した。